特集｜終末期をどう迎えるか、日本でも関心が高まっている
長いため息とともに棺に横たわる。 黄色い紙の花がひとつひとつ棺に入れられた。 “大変だったね、今までありがとう” その言葉を最後に、棺の蓋はゆっくりと閉じられ、光は消え、世界は突然静寂に包まれた。
この人生をどう終えたいのか。 その問いが暗闇の中に残っていた。
どれくらい時間が経ったのかわからないが、村田は蓋を開け、”気分はどう？”と尋ねた。 私は目を見開き、自分の気持ちをまとめるのが難しく、”生きててよかった！”と漏らした。 村田は微笑みながら言った。”死ぬということはどういうことなのか、いろいろと聞いてきたけど、棺桶の中に横たわっていると、それを感じることができるかもしれないね”。
東京の森下駅近くの路地でドアを開け、狭い階段を上ると、紺色の照明に照らされた小さなバーがあり、数人の中年男性が座って酒を飲みながら談笑している。 バーの隅にある高いスツールに腰を下ろし、メニューブックの最初のページを開く。”私と一緒に「死」についてオープンに語り合い、その中で私たちの生き方について考えてみませんか？”と書かれている。
村田は今年2月、ラテン語で「死があることを忘れるな」という意味の「mementomori」というレストランをオープンした。 バーのような店内には、棺桶や遺灰壺、供物などあらゆるものが置かれ、客に「棺桶体験」を提供している。 海葬に長く携わってきた村田の気まぐれではない。
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